乗馬クラブの台風対策について

千葉県の乗馬クラブ様を訪れた際に伺った、乗馬クラブ向けの台風被害と対策をまとめてみました。

2019年9月9日に関東地方を直撃した台風15号。

千葉県でも停電・断水や倒木が相次ぎ、乗馬クラブ様にも大きな被害がでました。


馬房の屋根が飛び、断水・停電で馬達の飲み水が手に入らず、

倒木で道が塞がり 餌等の物資が届かないなど、本当に危ないところでした…!

幸いにも今回の台風で馬達の被害は見られず、無事だったことが本当に何よりでした。



しかし、今回無事であったからと楽観はできません🐴

今後 同じように台風が接近した際、乗馬クラブは何を準備して、

馬を守るためにはどう行動するべきなのかを しっかり考えたいと感じました。

そこで 実際に被害にあった乗馬クラブ様を取材し、今回の経験から

①台風の被害状況
②最も困ったこと
③準備しておくべきもの

をそれぞれまとめまてみましたので、ご覧いただければ幸いです。



①台風の被害状況

私は台風から2週間後の 9月22日に千葉県の乗馬クラブ様を3か所訪れました。

被害の状況をまとめると以下の内容が多く共通しておりました。

・停電 ・電話&ネット回線の不通 ・施設の破損

電線が倒木などで断線し、電気製品が使えず、電話・インターネット回線も使用不能に。

また、鉄骨の骨組みが強風で曲がり、厩舎の屋根が飛び、あやうく馬達にも怪我が及ぶ可能性までありました><;



②最も困ったこと

・馬のツメ質の悪化 ・水質悪化による馬の病気

・井戸水が使えなくなってしまったこと 


千葉県の地層には帯水層という、地下水を多分に含んだ土壌があるため、

井戸を掘って 井戸水として利用しておられます💧

そして井戸水は電動のポンプで汲み上げるのですが、乗馬施設ということもあって、

電源が200V用という大型のものを使われているそうです。

そして停電したときに 救いとなる発電機は、一般的には100V用なのです!

200V用の発電機は業務用からしか無く、価格はどれも30万円以上と高価です😣

しかも、200Vとなれば屋外から直接電線を引き込んで供給する方式も多く、

コンセントを刺すだけで使用できるポンプばかりでも無いのです。

ですので 水道は止まっていないのに、停電した為に電動ポンプが使えず、

お風呂の蛇口から給水タンクに水を入れ、タンクを積んだトラックを厩舎に運ぶ、

といった作業を何往復もして、なんとか馬の飲み水を確保したクラブ様もありました…!


また、蹄や爪のお手入れ・管理が大切な馬にとって、

台風の後の水溜まりや、屋根の破損での雨水の浸水による

じめじめとした環境は不衛生で、蹄に雑菌が繁殖する危険性があります><;


また 水が貴重な為、飼葉桶・水桶をきちんと洗浄することができず、

こちらも細菌が増えて ぬめりや汚れが出て、馬の健康面も心配されたとのこと。




③準備しておくべきもの

・餌・オガ粉などの備蓄

・水 (+電動ポンプを動かせる電圧の発電機)


災害の準備として 馬達の餌の備蓄は率先して考えるものかと思いますが、

意外な盲点はその保管場所です!

今回の台風被害で乾草やオガ粉を貯蔵していた小屋の屋根が破損し、

雨水が侵入した例がありました。

そうすると乾草に水が浸み込み、カビが生えてきて💦

もう馬達が食べることはできず、オガ粉も馬房に使用できなくなります。


倒木による物流の断線もあり、新しい飼料やオガ粉を調達することも難しい為、

台風前の買いだめと 浸水の恐れが少なく、風雨が入らない頑丈な建物に保管することが大切です。🥗



そして②でも紹介した水について、井戸水を利用されている乗馬クラブ様では

電動ポンプを動作させられる電圧の発電機を 用意しておくべきと教わりました。

馬の1日に必要な飲み水は約30リットル、その他に清掃やお手入れに使用する分を考えると

水の買いだめ・貯水槽の蓄えだけでは限界があります。

井戸水はその際の大きな助けになる為、発電機を利用した給水は本当に大切です!



本内容をまとめます。


台風災害で馬の命を守るため乗馬クラブがとるべき対応

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・使用年数の長いor傷んだ屋根や建屋は、台風前に出来る限り補強・修繕する。
・馬の飼料やオガ粉は、台風前に十分買い溜めし 浸水・雨漏りなどの被害がなるべく少ない施設に保管する。
・水の備えは 井戸水の電動ポンプを動かせる発電機を確保し、台風前にきちんとポンプが動作するか訓練しておく。

※長期の停電になると、どうしても発電機を連続動作することになってしまい、 発電機本体の消耗・故障にも繋がるため、2台以上用意すると万全ですね。

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最後に 対策をどれだけ厳重にしていても、どうしても被害が出てしまうとは思います。

そんなときは 決して自分だけで解決しようとせず、インターネット・SNSに頼ることが大切だと感じました❣

▼こちらは千葉県の"市原ぞうの国"様の記事です

台風被害で停電となった"ぞうの国"様にて、使用していた自家発電機の調子が悪くなり、

フェイスブックで支援を呼び掛けたところ、それを見た方々から

なんと10台以上の発電機が集まり、無事にゾウ達の命を繋ぐことができました。



同じように乗馬施設様でも、被災で困ったことがおこった際、

SNSを通じて助けを求めることは、恥ずべきことではありません!

馬を愛する人達が 皆で力を合わせて、馬の命を守ることが出来る 素晴らしい行動です!

それでは長文失礼致しました。

記事をご覧いただき、少しでも馬達の台風災害対策のご参考になれば幸いです。


(今回の執筆に当たり、ボナンザ乗馬クラブ様より大変詳細な被害状況・対応策のお話と、

写真投稿の許可を頂きました。この場を借りて 心より感謝申し上げます。)

馬の未来に彩りを。

「乗馬クラブ クレイン大阪」様で乗馬修学中。 大阪在住の馬好き絵師です。 年間7000頭も生まれる競走馬達、その中で寿命を全うできるのは ほんの1%に過ぎません。 競馬を引退した馬、ケガや故障で養生が必要な馬、そんな子達を少しでも救いたいと思い筆をとりました。 私の描いた馬の絵から、一頭一頭の個性を愛してくださる方がいらっしゃれば、心より嬉しく思います。

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